彼女が帰った後、3杯目のコーヒーを入れ、5本目のタバコを付け、(どこからてをつけようか…)としばらく考えていた。

まずは、すべてに繋がっている山根武が勤めていた不動産屋にいろいろと聞いてみようと思い、彼女の書いた依頼書の不動産屋の電話番号にかけてみた。

「もしもし、木島不動産です。」

電話に出たのは女性の声だった。

「もしもし、私、以前そちらで勤めていた山根武さんの妹さんから依頼を受け、山根武さんを探している横浜で探偵事務所をやっている浜崎という者ですが、社長さんはいらっしゃいますか?」

普段こういった調査の場合、まず最初は知人とか関係者を装って電話するのがセオリーだが、今回は事情が事情なだけに、聞き出さなければならないことがかなりヤバい話なので逆に最初から正直に名乗った。

「少々お待ちください。」

(ラッキー、)どうやら社長はいるようすだった。

しばらくして、また先ほどの女性の声で、

「すみません、本日は一日中外出しております。」

(おやおや、、、)職業柄、明らかな居留守だとすぐに分かった。

「では、また改めますので、電話があったことだけお伝えください。またこちらからご連絡させていただきます。」

といって電話を切った。

仕方ないかと思いながらも、続いて、招待チケットを手に入れてくれたという山根武の大学の友人白井和彦に連絡するため新聞社に電話を入れた。

「お電話ありがとうございます、道日新聞社です。」

「もしもし、白井さんをお願いしたいのですが。」

「失礼ですが、どちら様でしょうか?」

「私、白井さんの大学の友人の山根武さんの知人の浜崎と申します。」

「少々お待ちください。」

(今度も居留守使われるかも)としばらく待っていると、

「申し訳ございません、本日は一日取材で外出しております。」

(案の定また居留守だな…)と思いつつ、

「わかりました。」

と今度はすぐに電話を切った。

さっきの不動産屋の社長といい、この白井和彦といい、やはり何かあるなと感じ、電話に出てもらえないということはやはり直接北海道まで行くしかないかと思い、とりあえず山根京子の携帯に電話した。

「もしもし、先ほどはどうも、浜崎です。」

「はい、先ほどはどうもありがとうございました。もう何かわかったんですか?」

そんなすぐに何かわかるわけないだろうと思いつつ、

「いえ、早速不動産屋の社長と新聞社の友人に連絡を入れてみたんですが、どうやら二人とも居留守を使われ出てもらえそうもないので、直接北海道まで出向くことにします。」

「そうですか。でしたら、私も一緒について行ってもいいですか?」

そもそも北海道に全く土地勘のない私にとっては彼女がついて行ってくれた方がなにかと都合いいこともあるだろうと考え、

「もしご都合がよろしければぜひ一緒に行っていただけると何かと助かります。」

彼女はひとつ返事で、

「わかりました。で、いつ行かれますか?」

「明日にでもすぐに行きたいのですがどうですか?」

「大丈夫です。バイト先には休みの届をすぐに出します。」

「助かります。では、すぐに飛行機のチケットを取るので、時間が決まったらまた連絡します。」

と言って一旦電話を切った。

2か月ぶりの休みでのんびりパチンコでもしているはずだった日が、暴力団に追われている男の人探しで北海道出張の準備をしている日になるとは、朝の目覚めの一服の時にはこれっぽっちも思っていなかったと、本日6本目のタバコに火を付け、航空チケット予約サイトで明日の朝一の便を2名予約した。

第三章 完 第四章へ続く

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